2016年3月11日金曜日

ファーストレーンとは何なのか?

YOMIURI ONLINEに「入国審査に「VIPレーン」…成田・関空」という記事が出ていました。それによると、「国土交通省は、成田空港と関西国際空港で、日本を訪れる外国人を対象に入国手続きにかかる時間を短くする「ファーストレーン」を28日に設ける。」とのことです。これはファーストクラスやビジネスクラスの利用者が出入国審査を優先的に受けられる仕組みです。ロンドンのヒースロー空港では「Fast Track」と呼んでいます。この空港は入国審査にとても時間がかかるので、ここを通れるのはお金持ちの特権です。

「ファーストレーン」という言葉は国土交通省の文書にもあるようなのですが、日本語でファーストというのは飛行機のファーストクラスで使われるように「first」を意味しています。「ファーストレーン」と書いたら「first lane」しか思い浮かびませんが、この意味ならば正しくは「fast lane」でしょう。おそらくは、英語にも日本語にも弱い国土交通省のバカ役人が「fast」をファーストと書いたのでしょうが、これでは混乱を起こすだけです。「優先レーン」と書くのがベストだと思いますが、「ファストフード」が日本語の中で定着していることを思えば、百歩譲って「ファストレーン」でしょう。

日本語の中には英語に由来するたくさんのカタカナ言葉があふれていますが、その多くは日本語として完全に定着しています。カタカナ言葉の秩序を乱すような表記は止めていただきたいと思っています。

ついでに言うと、ヒースロー空港では出国時にファーストクラス・ビジネスクラスの乗客は高額な税金を課せられており、その見返りとして「Fast Track」があるとも言えます。日本の空港にこんなものを導入すれば、エコノミークラスの外国人旅客の待ち時間がさらに長くなるのは目に見えています。こんな金持ち優遇政策が本当に必要なのか?他にやれること、やるべきことはないのか?国土交通省のバカ役人に頭を使って考えてもらいたいものです。