2014年5月22日木曜日

海外留学で英語は上達するか?

英語圏の国に留学したら英語が上達してぺらぺらになるかな~と思って30代後半でアメリカに留学しましたが、実際には全く上達しませんでした。ただ、いつもアメリカ人が話していることを耳をそばだてて聞いて、彼らがどのような言葉・表現を使っているのかを観察していました。これは大きな収穫だったと思っています。

アメリカに留学に来る日本人はたくさんいますが、英語圏の国に留学したら英語は上達するかどうかは年齢によるものが大きいと思っています。英語の上達には個人差があり、どのくらい積極的に現地人と交わるかによるものも大きいのですが、あえて言うと以下のようになります。

10代で留学したら発音までアメリカ人みたいになります。言語能力の発達における若さというファクターは大きいです。20代で留学したら英語を話したり聞き取ったりする能力は高まりますが、発音がなかなか上達しません。どうしてもアメリカ人のような発音にならず、日本語のカタカナ発音です。30代で留学したら英語はほとんど上達しませんが、生活や仕事をするには困らない程度には慣れてきます。40代以上は英語の上達を目的とした留学というのはほぼ無意味だと思います。

あと、英語(に限らず外国語)の上達は男性より女性の方が圧倒的に速いです。女性の言語能力の高さというのは本当にうらやましいと思っています。

英語を聞いたり話したりするだけでなく、英語を読み書きできる能力も大切だと思っています。研究者の仕事には実際のところこれだけで十分です、本当です(笑)。こういう能力は英語をたくさん読んで勉強すれば年齢にかかわらず上達するので何歳になってもあきらめないでいいと思います。私もまだまだがんばります。

2014年5月21日水曜日

変態大学から近大大学へ

YOMIURI ONLINEに「「変態」の意味あったので…近大、英語表記変更」という記事が出ていました。

近畿大は20日、2016年4月に予定している外国語・国際系の新学部開設に合わせ、これまで「KINKI UNIVERSITY」としていた英語表記を、「KINDAI UNIVERSITY」に変更すると発表した。
 

「KINKI」とほぼ同じ発音の英単語「KINKY」が「異常な」「風変わりな」といった意味合いで使われており、大学の国際化を進めるに当たって誤解されないようにするため、と説明している。

アメリカのテレビドラマなどで「kinky」(変態)は非常によく出てきます。海外で「Kinki University」と自己紹介したら小さな笑い声くらいは漏れ聞こえてくるかもしれませんね。しかし、「kinky」とスペルは違うので文字にしていれば問題はないはずです。

近畿がつく事業体は日本にはたくさんありますが、大手の近畿日本鉄道や近畿日本ツーリストはどうなるのだろうかと思いました。前者のホームページの英語表記はKintetsu Corporationとなっていて、後者はKintetsu Internationalを大きく出しており、すでに対策済みのようです。

日本語で普通に使っている言葉が海外では人前で言ってはいけない言葉であるというのは非常によくあることです。そこまでひどくはないですが、毎日空っぽのANA(全日空)も会社名を早くなんとかした方がいいと思っています。

2014年5月13日火曜日

Sorry about that.

時間にちょっとだけ遅れてきて友人を待てせてしまったときなど、アメリカで軽く謝るときに使われる常套句に「Sorry about that.」があります。

私が1年間アメリカにいた間に30回くらい聞いたので、非常によく使われていると思います。その経験から言うと、本当に謝る気持ちがあるのだろうか?と思うほど軽々しく使われています。

アメリカでは会社の不手際についてその会社の末端社員が謝ってくれることはめったにありません。例えば、飛行機が遅れて乗り継ぎができなかったりして客がたいへんな迷惑を被ったときに航空会社の係員のところに行っても、「このたびはご迷惑をおかけしてたいへん申し訳ございません」のような謝罪の言葉はなかなか聞けません。

なぜなら、飛行機が遅れたのはその社員の過失ではないからです。そういう場面で何ら謝罪の言葉など聞けなかったことも謝罪の気持ちの感じられない「Sorry about that.」と言われたこともあります。そして、アメリカにおいてはその社員が端末を操作して代替フライトを見つけてくれたら、客がその社員に「Thank you.」とお礼を言うのは当たり前です。

アメリカでディープに謝ってばかりいると逆にコミュニケーションの障害になり対人関係を悪化させかねません。そんな国で「Sorry about that.」は人と人の間の潤滑油のように効果的に使われていると思いました。

一方、とにかく謝ることが美徳・人徳であるような土下座国家日本では、一刻も早く相手が期待する以上に深く謝っておくのが効果的です。世間が勝手に騒いでいるのに、「お騒がせして申し訳ございません」などと冒頭から謝罪の言葉が入る日本は世界でも相当希有な国ではないかと思っています。

2014年5月12日月曜日

すみません、すみません、すみません

すみません、すみません、すみませんと日本人は誰にでもよく謝っているなと思います。私が日本で嫌だなと思うのは、たいしたことではないのに私が謝ることを期待している人がとても多いということです。こちらが「すみません」という言葉を発することを期待していて、そう言えばそれでいいのですが、言わなかったら怒っている表情が見て取れます。

日本語の「すみません」には「ありがとう」の意味もありますね。だから、英語なら「Thank you」というべき場面で、日本語では「(お手を煩わせて)すみません」と言います。日本人の英語で典型的におかしいのはその直訳で海外でも「Sorry」を連発することでしょうね。「そこ、謝るところじゃない!」といつも思っています。

ただし、アメリカ人もめったに「Sorry」と謝らないわけではありません。日本の英会話の本には歩いていてうっかり誰かと肩がぶつかったりしたときは「Excuse me」と言うように書かれていますが、私の経験ではぶつかったら「Sorry」と言われることが多いです。ぶつかったら「Sorry」、ぶつかってないなら「Excuse me」くらいでいいのではないでしょうか?

ところで、「Excuse me」や「Sorry」も下手をすると相手に喧嘩を売っているように聞こえかねないの注意が必要です。例えば、道を空けて欲しいときに「Excuse me」と言いますが、そこで語尾を上げて「Excuse me」と言えば、「そこをどけ(ゴルァ)」という感じが伝わってきます。同じ言葉でもイントネーション、顔の表情、その場の文脈によって言葉の意味は変わってくるものですね。

2014年5月10日土曜日

pleaseと言われても

中国東方航空など中国系の飛行機に乗ってビールなどを注文したときに、スチュワーデスさんがよく「Please!」と言って手渡してくれます。しかし、このように言われると私に何をしろというのかと一瞬考えてしまいます。

日本語では相手にモノを手渡すとき「どうぞ」と言います。そして、多くの日本人が「どうぞ=please」だと思っているので、日本人なら英語でそのように言いそうです。中国語の場合もやはりそうなのかな?と思ってちょっと調べてみました。

その結果はどうやら中国語で「please」に相当する言葉は「请(請)」(読み方はチン)で、こういう場面で日本語と同じように「请」を使うそうです。だから、中国人のスチュワーデスさんはいつも「Please!」と言って飲み物を手渡してくれるのでしょうね。

ちなみに、英語ではこういうときご存じの通り「Here you are.」などを使います。

Thank you for flying Air Mauritius

エア・モーリシャスの飛行機に乗っていたらテレビ画面に「Thank you for flying Air Mauritius」と出ていました。英語が得意な人ほどこれには違和感を感じるのではなかろうかと思っています。flyは「飛ぶ」という意味の自動詞なのではないのか、この場合「Thank you for flying with Air Mauritius」なのではないかと。

実は、flyには特定の航空会社やそのサービスを利用するという他動詞があり、Longmanにも次の二つの用例が出ています。

We usually fly economy class.
Millions of passengers fly British Airways every year.

このような言い方は現実に非常によく使われるもので、日本の航空会社も「Thank you for flying ANA」などと言ってますね。もちろん、自動詞のflyを使って「Thank you for flying with ANA」とか「Thank you for flying with us」と言ってもいいはずです。