2013年12月16日月曜日

Wonders! by Panasonic

朝日新聞DIGITALに「外国人には謎? パナソニックの新ロゴ、評判いまひとつ」という記事が出ていました。

「パナソニックが商品広告に使うロゴマークを今秋、一新した。消費者に驚きや感動を与える意味で「Wonders(ワンダーズ)!」。ただ、外国人社員を中心に、評判はいまひとつ。新しいパナソニックを印象付けられるかは、「謎」だ。」

この記事には、wonderには「不思議」「謎」「不審に思う」という意味があり、外国人社員には不評と書かれています。どうしてパナソニックほどの国際企業がこういう言葉を採用する前に英語圏の外国人の意見をきかなかったのだろうか?と不思議に思わずにはいられません。(←この不思議がまさにwonderですね。)

ところで、ニューヨークにはライバル・ソニーによるSony Wonder Technology Labというのが実際にありますが問題にはなっていません。こういう言葉の解釈にもやはり文脈が大切ということではないでしょうか?ソニーの場合はTechnology Labという単語が後につながっているので違和感がないのだろうと思われるのです。

2013年10月21日月曜日

次の駅は「is」か「will be」か?

今日東京駅から東海道線で横浜駅に移動しました。そのとき、車内で流れる電光掲示を見ていたら、「The next stop will be Kawasaki.」などと出ていました。

次の駅は川崎だと決まっているのに、どうしてここで「will be」を使うのか?「will」は「~だろう」という推量を表しているので、「次の駅は川崎だろう」になるのではないか?この場合は「is」を使うべきではないか?来日したイギリス人もそう言っていた等という指摘や主張が日本語のインターネットサイトにたくさんあります。

「is」を使うのはもちろん適切です。現時点で次の駅は川崎だということは事実としてわかっているからです。一方、「will be」の場合は未来のある時点でそういう状態になる(=現時点ではまだそうなっていない)と言っています。上の文は、

The next stop we will be stopping at is Kawasaki.

と同じ意味だと言えるでしょう。

もちろん、「will」には「~だろう」という推量の意味もあるのですが、どうしてここではそうならないのかというと、英語は(このブログで何度も書いているように)文脈によって解釈されるからです。 「The next stop will be Kawasaki.」は前後関係のない独立した文ですが、スケジュールに従って走っている電車に乗っているという状況から考えて、「次の駅は川崎だろう」などといいかげんなことを言っているとは到底思われないわけで、それこそが英語を解釈するのに必要な文脈というものです。「will be」に文句を言っている人たちは英語の解釈に不可欠な文脈というものを考えていないのではないかなと思うのですが、どうでしょうか?

2013年10月3日木曜日

auroraは通じない

北極圏地方で美しいオーロラが見られる季節が近づいてきました。オーロラは夏でも出ているらしいのですが、天気が安定しない(雲が多い)ので冬の方がオーロラを見るには適しているのだそうです。

私もアラスカのフェアバンクスに今の時期にオーロラを見に行ったことがあるのですが、やはり雲が多くて見ることができませんでした。毎晩何時間も一人で空を眺めていたのに、見ることができなかったのは残念でならなかったです。いつかリベンジしたいと思っています。

オーロラをツアーで見に行った人にオーロラを見に来ているのは日本人ばかりという話を聞きます。オーロラに興味があるのは日本人が多いというのは確かなようで、私がアラスカでオーロラを見に来たと言ったら、同じ宿のドイツ人などはそんなの何がおもしろいの?という感じでした。

さて、日本ではオーロラと言いますが、auroraは発音が難しく、私がいくら言っても通じないことがありました。ようやく、「あー、northern lightsのことか」と言われたことが今でも記憶に鮮明に残っています。その上、auroraという言葉はあまり一般的に使われていないようで、northern lightsと言えば100%伝わるのにauroraの通用度は今ひとつというのは確かなようです。

発音もnorthern lightsの方が日本人には簡単だと思います。auroraの発音にチャレンジしたい方は、こちら(Au-ro-raの右のスピーカーの絵をクリック)で発音を聞いてみて下さい。

日本人の英語力の判別法 (2)

英語の肯定文の最後は「.」(ピリオド)を打つと学校で習いますが、必ずしもそうでない場合があります。例えば、

The results are shown as follows:

Please refer to the following references:

のように、as followsやfollowing XXXの後は「.」(ピリオド)ではなく、「:」(コロン)になります。これは学校では習いませんでしたが、英語を読んでいれば必ずこのようになっていることを経験的に知ることになります。

ところが、日本人の場合は英語をたくさん読んでいないのか、注意深く読んでいないのかわかりませんが、このような場合でも90%以上の確率で「.」で終わっていますね。「.」になっていると日本人の書いた英語だとすぐにわかります。

「.」というのは、そこで文章が完全に終わるときに使います。「:」は言い換えるときや具体例を挙げるときにしばしば使われ、その前後の文章が切れることなくつながっています。as followsやfollowing XXXの後に「.」が来ると文章がそこで終わってしまうので、上記のような切り離せない前後関係があるときに使うのは適切ではありません。

The results are shown as follows.

Please refer to the following references.

などと書かれているのを見ると、私はなんとも言えない気持ちの悪さを感じます。これを見てもしなんとも思わないなら、英語を書くのに必要な語感が身に付いていないということなので、もっともっと英語を読みまくらないといけないですね。

2013年10月2日水曜日

Singlishがおもしろい

シンガポール人の英語は独特の文法と発音なのですが、それを揶揄してSinglishと呼ばれます。インド人の英語と並んでわかりにくいと言っている日本人が多いようですね。

Singlishの特徴としてはマレー語との融合がとても多いことだと思います。Singlishは英語としては語順がしばしばおかしいのですが、それはマレー語の語順だったりします。また、Singlishではよく主語が省略されますが、それはマレー語でも同じです。Singlishでは動詞の過去形がしばしばないのですが、マレー語にも時制による動詞の変化はありません。

Singlishはマレー語の文章の単語をそのまま英語の単語に置き換えていることが多いので、マレー語に慣れているとSinglishにはさほど違和感を感じなくなります。Singlishはマレーシア人の英語とも似ていて、典型的には「OK lah?」と語尾にラをつけることが多いです。「can」が非常によく使われますが、その用法はマレー語の「bisa(~できる)」と同じです。

Singlishはアジアなまりの英語だとバカにせずに、それに正面から向き合ってみるとおもしろいと思います。私はSinglishが話せるようになりたいなといつも思っています。

2013年9月19日木曜日

日本人の英語力の判別法

日本人の英語力を簡単に判別する方法に、英語を書いたときに「:」や「;」や「.」の後に半角の空白を入れているかどうかを見ればいいというのがあります。

これはとても基本的なことなのですが、基本的すぎるからこそ学校であまり教えられていないみたいです。しかし、英語をある程度読んでいる人なら、ふつうそれはないと思いますよね。日本の街中には意味不明なアホな英語があふれかえっていますが、こういう細かいところもちょっとチェックしてみて下さい。

この前南海の特急ラピートに乗ったとき、関西空港駅で切符をクレジットカードで買おうとしたら「現金のみです」と言われて呆れました。そして、ラピート車内の電光掲示板で流れている英語で「.」の後には空白がありませんでした。さすが、田舎のローカル鉄道です。

2013年9月14日土曜日

セレブとcelebrity

日本のテレビ番組で世田谷のセレブのお宅をお邪魔しますみたいなのがありますが、このセレブは英語のceleb(celebrityの略)とは意味が異なっています。

英語のcelebrityはテレビや映画に出ている有名人のことで、もちろんそういう人たちは大金持ちであることが多いのですが、日本語のセレブは世間一般での知名度に関係なくお金持ちがそのように呼ばれるようです。

たとえ世田谷の豪邸に住む大金持ちであっても、テレビとかに出ていない誰も知らない一般人なら英語のcelebrityには該当しません。

セレブのように完全な和製英語とは言えないけれども若干意味が違うというケースもあるので、カタカナ言葉は厄介です。怪しいと思ったら和製英語かどうかを疑うくらい用心深くてもいいでしょう。

2013年9月9日月曜日

マクドナルドのi'm lovin' it

マクドナルドのキャッチコピー(和製英語、英語では「advertising slogan」等)である「i'm lovin' it」は有名なので誰もが知っていると思います。これが文法的に間違っていると思う人は英語をよく勉強した人でしょう。「love」のような状態を表す動詞は進行形にはならないと日本の学校では習ったはずです。

しかし、米国企業のマクドナルドが企業スローガンの英語を間違えるわけがなく、これを正しい英語ではないと言ってのけるのは今どき無理だろうと思われます。「like」は進行形にはならないと思いますが、「love」が進行形になっていてもマクドナルドのおかげで、私は何の違和感も感じないですね。

「I love it」と言われると、ああそうですか、好きなんですかという感じですが、「i'm lovin' it」だと今まさにそれを最高に気に入っているという発言者の一時的な感情の高まりを感じることができます。

家族や恋人に向かって「i'm lovin' you」と言うのは愛情の持続性の欠如という点で不適切と思われますが、ファストフード会社のスローガンとしての「i'm lovin' it」はとてもよくできていると言えるでしょう。

ところで、私はloveの進行形よりも一人称単数の「I」を「i」と小文字で書いていることの方が気になります。小文字にすることによって形式ばらないリラックス感を出しているのではないかと考えられるのですが、携帯電話のSMSで「I」と大文字で打つ若者がほとんどいない(SHIFTキーを押すのが面倒だからですね)ことを思えば、若者の流行に敏感な企業センスを打ち出しているようにも思われるのです。

2013年9月5日木曜日

Mind your step / Watch your step

関西空港のトイレで「Mind your step」という貼り紙を見ました。しかし、なぜ足元に注意しないといけないのかはわかりませんでした。滑らないように注意(「CAUTION WET FLOOR」と書かれた黄色の注意書きがよくありますね)という意味なのでしょうかね?

関西空港の貼り紙を書いた人は気にしてないのかもしれませんが、このようにmindを使うのはイギリスです。アメリカでは「Watch your step」です。

ロンドンで地下鉄に乗ると、「Mind the gap」(列車とホームの間の隙間に注意)というアナウンスが流れていますね。ロンドンの地下鉄とホームの間の隙間には信じられないくらい広いところがあるので、いつも注意していないと危ないです。

Longmanでmindを見ると以下のように書かれています。「British English」とあるので、アメリカではこういう言い方はしないんでしょうね。

Take care of something/somebody [transitive] British English
a) to be responsible for something for a short time [= watch]: Will you mind my bag while I buy my ticket?
b) to take care of a child while their parents are not there [= look after]: My sister minds the baby while I'm at yoga.

一方、Oxford Dictionariesには

watch one's step

used as a warning to someone to walk or act carefully.

とあるので、mindばかり使っているようなイギリスでも、実はwatchでもいいということではないかと思います。ただ、watch your stepは「walk or act」とあるので比喩的に使うことがあるようですね。

2013年8月21日水曜日

大学におけるfacultyとstaff

大学の公式サイトはおもしろくもなんともないですが、学生が作ったのかなと思われる素人的なデザインの研究室のサイトは見ていて微笑ましく、また楽しいです。

しかし、大学の研究室のサイトのコンテンツはだいたいどこも同じです。研究紹介があったり行事やお知らせがあったりといったものです。研究室に所属している先生や学生の名前の一覧ページもたいていあります。

ホームページから教員一覧のページへ飛ぶリンクにはしばしば「スタッフ」とか「Staff」とか「Stuff」とか「Staffs」とか書かれています。

このStaffsはどうしようもないです。いつからstaffは数えられる名詞になったのでしょうか?Stuffは言わずもがなですね。こういうことを最高学府の先生(学生)が書いてはいけないです。

そして私の知る限り、アメリカでは大学の教員のことをfacultyと言って、staffとは言いません。staffは大学の事務職員などのことです。それなのに、日本中の大学でstaffを当たり前のように使っているのはどういうことなのかなと思っています。

facultyは学部の意味じゃないの?と思われるかもしれませんが、アメリカでは学部のことはfacultyとはふつう言いません。学部に相当するのは、school/college/departmentでしょう。

大学という教育システム自体が文明開化によって欧州からもたらされたものなので、それ以来イギリス英語のfacultyが日本で使われているのかな?と思うのですが、これだけアメリカ英語が世界のスタンダードになりつつあるのに、頑なにfacultyを使う(そして、それが絶対的に唯一正しい英語だと誰もが信じている)のはどうなのかと思っています。こんな人たちが大学の国際化とか声高に叫んでいるのは可笑しいですね。

Logic doesn't always rule the way English works

このブログで私が強調したいのは、英語には文法的に間違っていなくてもふつうはそうは言わないという表現がいくらでもあり、英語を書くためには英文法の習得だけでは不十分で、英語の語感を身につけることが大切であるということです。

これについて例を挙げて説明してみます。

海外で英語でプレゼン(研究発表等)をする日本人には、「Thank you for your listening.」で締める人が多いようです。

しかし、このサイトによると、この表現は文法的には間違っていないのですが、ネイティブと言われる人たちは使わないとのことです。その理由として挙げられているのが、「redundant(冗長である)」というものです。youとyourであなたが二度繰り返されていてくどいので、「Thank you for listening.」ならよいという結論になっています。

Logic doesn't always rule the way English works!

は英語学習者が肝に銘じるべき言葉ですね。

さて、こういう英語の語感を外国人が身につける最も有効な方法は英語を多読することです。これは決して私の個人的な経験に基づく個人的な主張ではなく、アメリカの大学のESLの授業で聞いたものです。英文を多読することによって、英語を話す力も聞く力も伸びるということだったのでぜひとも試してみて下さい。

eチケットの英語

この前中国東方航空の飛行機でタイに行ってきました。この航空会社を使ったのは航空券がとても安かったからです。お盆のいちばん混雑した時期に燃油サーチャージを含めた料金・税金込みで4万円ちょっとなんて驚きでした。

その代わり安いだけのことはありますね。LCCも真っ青な地獄のような修行フライトでした(笑)。

さて、このチケットは日本のHISのインターネットサイトで購入しました。eチケットはINFINIのTrippleという予約・発券システムからダウンロードできるようになっています。


このeチケットには日本語と英語が併記されているのですが、英語の方を読むのが私の習慣になっています。

ターミナルのところで、INTERNATIONAL TEで改行されてRMINALとなっているところなど、たいへん読みづらく気に入らないです。こういうところで折り返すことに何の違和感も感じないのが日本人のダメな英語感覚だと思っています。

いちばんひどいのが最下部の諸注意の部分です。よくもまあ、こんなろくでもない英語が書けたものだと思いました。文法的に間違っているとまでは言えないのですが、英語に対する語感が働いていない典型的な日本人の英語です。


こういうアホな英語を書かないようにするためには、英語の文章を多読することで言語感覚を身につける以外にありません。

JRの英語アナウンスは間違っている?

This is the Yamanote Line train bound for Ueno and Ikebukuro.

Please change here for the Chuo Line and the Ginza Subway Line.

といった英語のアナウンスを東京で山手線に乗ると耳にします。これらのアナウンスは間違っているという話がこちらにありました。どこが間違っているのかわかりますか?

最初の文ではthe Yamanote Line trainをa Yamanote Line trainに代えなければなりません。このままだと山手線の中を走っているたった一つの列車という意味になるからです。

これにはなるほどと思いました。この前このブログに書いたmy friendとa friend of mineの違いの話と同じですね。my friendがいきなり出ると友だちが一人しかいないと思われるとのことでした。

その次の文には2つの間違いがあるとのことです。Please change hereだと全員に降りて下さいと呼びかけているみたいなので、Change hereにせよとのことです。これは言われてみれば確かにそう感じるのですが、私はほとんど気になりませんでした。なぜなら、アジアの国々の英語アナウンスはPleaseがつくことが多いからです。私の英語はかなりアジア英語に毒されています(笑)。

相手のためを思って言っているなら、命令形でも失礼にはならないという英語の法則を思い出しました。pleaseをつけなければ失礼でつければ丁寧になるというのはアジア人共通の誤解なのだろうと思います。

もう一つの間違いは、the Chuo Line and the Ginza Subway Lineのようにandを使うと、両方へ同時に乗り換えるという意味になるので間違っているというものです。これも私には気になりませんでしたが、厳密に考えればorの方がよいのでしょうね。

JRの英語アナウンスは「そこらの英語の話せるアメリカ人(?)」が作ったようで、 英語の専門家から見ると厳密には正しくはないようです。ただ、これらの間違いはネイティブと言われる人たちにとっても、それほど気にならないマイナーな誤りと言っていいようです。

2013年8月7日水曜日

日本人の英語学習

英語の難しさ(それゆえのおもしろさでもあります)は何なのかというと、英語の言語感覚が必要とされることです。ゆえに、数学や物理が完璧にできる天才的な人でも、英語を書くとぼろぼろという日本人がたくさんいます。

美しい英語は数学や物理のようにロジックだけでは書くことができません。なぜなら英語は一定のルールに従ってはいるのですが、たとえ文法として間違っていなくても「ふつうはそうは言わない」という事例が山のようにあって、慣例に従って書くしかないからです。

数学や物理が得意な日本人の書いた英語は確かに文法的には問題はないようですが、それを読んでみると、スムーズに言葉が流れないでこぼこ感、がたがた感があって一見して日本人が書いたんだろうなとわかってしまいます。

英語ができるかどうかは結局幼少時から身につけた言語感覚に尽きると言ってしまえば、我々外国人には取り付く島もないことになっておもしろくはありません。しかし、そのような言語感覚は日本にいながらでも身につけることができるのです。

最も有効な方法は英文を多読することです。わからない単語が出てきても無視して読んで読んで読みまくるというのがいちばん有効です。さらには、英語の映画やドラマなどを見て、音やリズムの感覚を身につけることでしょう。これくらいなら日本にいても十分実行することができます。

それでも、英語には日本人には越えられない壁があるのは確かです。ほとんどのアメリカ人がロジックをわかっていないのに、彼らが母国語を習得する過程で身につけた感覚で付けたり外したりしている冠詞は本当に難しいですね。

しかし、英語を軽々と使いこなしているドイツやフランスや北欧の人たちくらいのレベルには我々でも十分に達することができます。アメリカ人やイギリス人みたいになろうとするのはたいへんなこと(たぶん無理)ですが、我々が目標とするのは大陸ヨーロッパの人たちに絶対に負けないくらいの英語でいいのではないでしょうか?

最後に...毎日10分間聞くだけで英語が話せるようになるとか書かれている教材は信用しない方がいいです。聞かないよりは聞く方がいいのでしょうが、たいした努力もしないで外国語が身に付くなどありえないことですね。

アパートの住所を書く方法

通販の利用などで海外の外国人に自宅の住所をアルファベットで伝えないといけないときにいつも困っているのがアパート名です。

日本の不動産関係者は国際感覚のない人たちばっかりなので、アパートに変な名前をつけているんですよね。

私が前に住んでいたアパート(ワンルームマンション)は「ファンハウス」、今住んでいるところは「セジュール」です。

高級感を出したくて、こういう外国語を使っているんでしょうけど、これを英語で書こうとするとたいへん困ります。ファンハウスは英語なので、「Fun House」と書くこともできるのですが、さすがにそうしたいとは思わないですね。

こういうカタカナ言葉の氾濫を見るにつけ、日本人というのは未だに横文字にすればなんでも格好いいと思っているのかなと考えてしまいます。欧米は格好いいという思考は昔から全然変わってないんでしょうね。

さて、アメリカではアパートのある住所はしばしばアパート名を書かずにApartmentの省略形のApt.や#(パウンド)記号を使って

XXXX Feather Pl., Apt. 6
Davis, CA 95616

XXXX Feather Pl., #6
Davis, CA 95616

などと書きます。郵便物に書く住所はこれとはまた少し違うので、USPSの指示に従って下さい。

それでは、日本の住所の場合はどうすればいいのでしょうか?Apt.や#は日本の郵便配達の人にはわからないと思われるので、使うのはやめておくことにします。

XXX-X Nishikawatsu-cho, Fun House 102
Matsue, Shimane 690-0823
Japan

XXX-X-102 Nishikawatsu-cho
Matsue, Shimane 690-0823
Japan

上記のような書き方が考えられますが、アパート名には変な名前が多い、しばしばスペルがわからない、ということを考えて下の方を採用しています。

ちなみに、手紙を投函するポストは日本人がよく使ってしまう和製英語なので注意した方がいいです。アメリカではポストのことをmailboxと言います。郵便受けもmailboxです。

「〒」(郵便記号)について

インターネットに転がっている英語による日本の住所の書き方ってどうしてこんなに「個性的」なんでしょうね?いくら正解はないと言っても、それはないんじゃない?と思うものも多数あります。

例えば、この書き方はどうでしょう?

2-3-4 1-Chome
Shinjyuku-ku, Tokyo-to, 〒123-4567
Japan

「新宿区1丁目」なんてあるの?とまず思ってしまいますが(新宿区四谷1丁目ならありますが)、私が気に入らないのは「〒」です。この記号は郵便番号の前につけますが、日本だけでしか使えません。アメリカ人が見たら意味不明でしょうね。

「〒」(郵便記号)はもちろん英語フォントにはないので手書きにしないと打ち込むこともできません。

こういう記号を平然と英語の世界に持ち込む日本人が多くて、そういうのを見るたびにいらいらしています。「〒」が世界共通の記号だと思っている日本人はとても多いですね。

日本の住所の英語表記

三菱UFJニコスのETCカードの裏面に同社の住所が日本語と英語で書かれていました。

三菱UFJニコス株式会社
〒113-8411 東京都文京区本郷3-33-5

Mitsubishi UFJ NICOS Co., Ltd.
33-5 Hongo 3-chome, Bunkyo-ku
Tokyo 113-8411 Japan

日本語の方には3丁目という表記はないのに、英語の方に3-chomeと書かれているのは微笑ましいですね。

ここからわかることは、英語で住所を書くことになった三菱UFJニコスの担当者がインターネットか何かで英語による日本の住所表記法を調べて、それに合うように必死に書いたんだろうということです。

日本の住所表記は郵便や宅配便の配達の人がわかりやすいものがいい(日本語がベスト)と思うのですが、アルファベットで書かないといけないときはどうすればいいのか、決まった答えはないでしょう。

私が好きな日本の住所の書き方は以下のものです。

3-35-5 Hongo, Bunkyo-ku
Tokyo 113-8411
Japan

-kenとか-shiとか-chomeはシンプル表記にするために省略していますが、-kuや-choがないと郵便配達の人がわかりにくいかもしれないので残しています。Tokyo 113-8411はアメリカのCA 95616-5270のような表記に習っており、Tokyoの後のコンマはなしです(アメリカではふつう州名と郵便番号の間にコンマは入れません)。もちろん、これが正解と言っているわけではないですが、私はこの書き方が好きなのです(笑)。

2013年8月5日月曜日

baggageとluggageの違い

高校生だった時、baggageはアメリカ英語でとluggageはイギリス英語だと学校で習いました。実際、英和辞典にそのように書いてあったので、そうなんだろうなと信じていました。

しかし、実際にはアメリカでもluggageはいくらでも使われているし、イギリスでもbaggageという言葉をたびたび目にします。

それではこれらの言葉は何が違っていて、どのように使い分ければいいのでしょうか?

luggageはスーツケースなどの荷物の容器のことで、baggageは一般的な手荷物のことを言います。

luggage(スーツケース)に荷物を詰め込んで旅行に持ち出せば、それはbaggage(手荷物)でもあり、空港や駅などの表示ではどちらも使えることになります。例えば、手荷物一時預かり所はleft luggageでもleft baggageでもいいことになりますね。

baggageとluggageの違いについてまとめたわかりやすいサイトがありました。

'Luggage' = suitcases, bags, etc. whether they're full or not.
'Baggage' = suitcases, bags, etc. that have been packed and that are carrying the stuff you travel with.

ここには、luggageはお店で買うことができますが、baggageは買うことができないという説明もあります。それはそうですよね(笑)。

アメリカの鉄道会社Amtrakのサイトには以下のような注意書きがあります。

Please be sure to pack your baggage using sturdy luggage or containers that are capable of withstanding expected handling.

これらのことからも、baggageとluggageの違いは明らかで、アメリカ英語とイギリス英語でばっさり分けるのは間違っているということになりますね。

capとhatの違い

日本の中学校の英語の授業でcapとhatの違いについて習いました。それによると、capは野球帽のようなつばのある帽子、hatはつばのない帽子とのことでした。帽子を絵を見て、これはcapですか?hatですか?という問題が試験にも出ていました。

こういうことを今でも教えているのかどうかわかりませんが、アメリカではそうはなっていません。帽子売り場に行けばわかると思いますが、hatというのは帽子の総称であって、capもそれに含まれています。だから、アメリカのデパートの帽子売り場では、hatと書かれたところにcapも売られています。

アメリカに住んでみてわかったのですが、日本の学校で習った英語というは本当にうそばっかりですね。

何年か前、研究社の英和辞典には、今どき使えない古典のような例文がたくさん載っていると大騒ぎになったこともありました。

なぜ日本の英語はこんなひどいことになっていたのでしょうか?おそらくは当時の日本の大学で英語を研究していた先生がだめだったのだと思います。シャークスピアとか古典を読んでいるだけで、実践的な英語が全然できていなかったのでしょう。

今ではインターネットの普及もあってアメリカから英語の情報がダイレクトに入ってくるようになり、さすがに状況もよくなっていると思います。しかし、昔私にツイッターで文句を言ってきた大学の英語の先生があまりに低レベルだったので、アカデミックな世界は相変わらずなのかもしれないなと思ってます。

2013年7月31日水曜日

英語上達には英語で日記

日本にいながら英語が上達するようになるには、とても短いものでいいから日記を書いて、それを先生にチェックしてもらったらいいというお話です。でも、そんな先生がどこにいるのでしょうか?

日記の英語を添削してくれる先生が本当にいたら、毎日がどんなに楽しいことでしょう。そんなことをやってもらえるなら、毎日大喜びでブログを英語で書くのにと思いました。

rain cats and dogs

「rain cats and dogs」は高校生のときに大喜びで覚えたのに一度も試験に出なかったイディオムです。私はYouTubeのこのビデオが大好きで何度も見ています。バンクーバー在住の香港人でしょうか?アジア人の英語はわかりやすいですね。

2013年7月30日火曜日

my friendとa friend of mineの違い

英語の勉強をしていて、次のような文章はおかしいという話を聞いたことがあるのではないかと思います。

My friend will come to visit me next week.

それはmy friendをa friend of mine(あるいはone of my friends)にしないと、友だちが一人しかいないという意味になるからということでした。

その理由は、myのような所有限定詞は定冠詞の代わりに使われるからです。つまり、my friendは(a friend of mineではなく)the friend of mineになるということです。

ゆえに、会話をしている二人がこの友だちの情報を文脈の中で共有していないのにいきなりmy friendと言えば、それは友だちが一人しかいないことになります。

一方、会話をしている二人がこの友だちの情報を文脈の中で共有していてmy friendと言ったならば、その文脈で共有している友だちのことでしょう。

しかし、友人を紹介するときにいきなり

This is my friend Ted.

と言っても、友だちが一人しかいないとは思えません。それはなぜなのでしょうか?

my friendとa friend of mineの違いについて、このページがとてもわかりやすく現実的な説明ではないかと思います。

There is no major difference in meaning between my friend and a friend of mine - only some subtle differences in usage. A friend of mine is a little more “distant” or non-specific about the person.

要するに、my friendはa friend of mineに比べて少しだけ、友だちとの関係が近い状況、友だちが特定されている状況で使われるというものです。両者の意味の違いはそれほど大きくはなく、使い方においてわずかな違いがあるだけということです。

長い言葉は短くなるという言語の法則によって、a friend of mineと言うべきところが、口語ではmy friendになっている現実もあると思っています。

貧困なる和製英語

和製英語を日常的に使っていると、そういう言葉が脳の中にインプットされてしまい、外国人との会話で思わず口から出たりすることがあります。

和製英語に見られるカタカナ言葉を多用することが、日本語の文化を崩壊・変質させている面もあり、こういう言葉を使うことには慎重であるべきです。

和製英語の中でも見たり聞いたりするたびに、アイタタタと心が痛むのはノーマイカーデーです。

マイカーというのは「my car」であって、文字通り私の自動車という意味です。しかし、この言葉は決して自家用車全般(private vehicle)を意味していません。だから、ノーマイカーデーという言葉は英語的に意味をなさないのです。

それにしても、ノーマイカーデーは美しくない日本語ですね。似たような言葉にノー残業デーというのもあることを思うと、ノー○○デーと一般化できそうです。

マイナンバーという共通番号制度が導入されようとしていますが、これも英語的にも日本語的にも残念な言葉です。こういう貧困な言葉しか生み出せない日本の官僚(言語能力の衰えたオヤジの集団)のセンスが嘆かわしいです。

ちなみに、交通渋滞による大気汚染が深刻なカリフォルニアのベイエリアではノーマイカーデーのことを「Spare the Air Day」と言います。日本語とは言葉のセンスが違うと感じますね。この日はベイエリアの多くの公共交通が無料になってお得です。

2013年7月29日月曜日

男は言語能力が低い

ハーバード大学で学長をしていたサマーズ(元財務長官、次期FRB議長の有力候補)がトップクラスの科学者に女性が少ない原因について持論を展開したところ、フェミニストから猛烈な批判を浴びました。

今の世の中では男より女が優秀だとは言ってはいけないみたいですね。というわけで、いかに女が優秀かについて書きたいと思います。

言語能力にかけては女が男よりも圧倒的に上です。外国語を軽々と習得してぺらぺらと流暢に話しているのはたいてい女です。

男はもともと言語能力が女よりも低いのですが、特におやじと言われる年齢になると外国語はもちろん日本語の運用能力についても急速に低下するようですね。

熟年夫婦の間のすきま風もしばしば、話をしたい女と話すのが面倒くさい男のすれ違いから起こっているのではないでしょうか?

おやじギャグという言葉は本当によく現実を表していて、男はおやじと言われる年齢になるとだじゃれを口にするようになります。

言葉を組み立てて話ができない言語能力の衰えた男が、音の類似性だけに反応して言葉を絞り出した結果がおやじギャグです。経験的にも言語能力の低い男の方がおやじギャグを口にする率が高いです。せっかくなので笑ってあげましょう(笑)。

ちょっとロスに(笑)

長い言葉を短く言うのは言語における世界共通の法則だと思っています。この法則について例外を見つけたことがありません。

例えば、トルコ語でありがとうは「テシェキュレデリム」なのですが、長いので「テシェキュレル」と言ったりします。

ペルシャ語でありがとうは「ヘイリーマムヌーン」なのですが、やはり長いのでみんな「メルシー」と言っています。「それはフランス語じゃないのか?」と問いたくなりますが、フランス語そのままです(笑)。

日本人はロス・アンジェルス(Los Angeles)をしばしばロスと略します。日本の新聞でもロス市警とかふつうに書かれていますね。

でも、こういう単語を省略するとき英語では頭文字を使います。だから、ロス・アンジェルスはロスではなくエル・エー(LA)です。先ほどのロス市警はLAPD(Los Angeles Police Department)ですね。

ロスというのは日本の新聞記者のおやじが言い始めたのではないかと想像しています。インフルエンザをインフルと言うような人たちですからね。本当にセンスないです。

ちなみに、サンフランシスコ(San Francisco)はエス・エフ(SF)です。これが最も一般的な略称で、日本でよく言われるシスコ(Cisco)はふつうは使われないと思います。

アメリカでシスコと言えばCisco Systemsですが、このシスコという会社名は実はサンフランシスコに由来しているというトリビアがあります。シスコのロゴはゴールデン・ゲート・ブリッジですね。

スムースかスムーズか

物事がスムーズに進行するなどと日本語では言いますが、ときどきスムースと書いている人がいます。

ある時代に日本の学校で、日本語ではスムーズだけど英語ではスムースなんだよと教えた先生がいるようです。実は私もそのように聞きました。

中学や高校の先生の英語はアレなので、彼らの教えていることは全く信用ならないですね。高校までに習った英語はさっさと忘れましょう(笑)。

smoothの発音はDictionary.comで確認することができます。

日本人は英語におけるスとズの発音を極めていいかげんに捉えていると思います。

tigersをタイガーズと読める人はどれだけいるのでしょうか?いちばんひどいのはladiesやladies'でしょうね。どこに行ってもカタカナでレディースと書かれていますが、この発音では聞き取ってもらえないでしょう。looseをルーズと書くのもカタカナ英語の特徴ですね。

松井選手がいたニューヨーク・ヤンキースも正しくはニューヨーク・ヤンキーズです。

和製英語のアップ・ダウン

日本ではリストアップするという言葉をよく使います。辞書で調べることをlook upと言うことからも、list upはいかにも英語でもありそうな言葉なのですが、完全な和製英語です。

どうしてこんな本物っぽい和製英語が日本で生まれたのかとても興味がありますが、その語源はどこにも書かれていないようです。和製英語がどのように生まれたかはたいていわかりません。

アップ、ダウンは和製英語に多いという説はあるようです。

イメージアップ
スピードダウン
ベースアップ
レベルアップ
コストダウン

リストアップはこの系列とも考えられますが、これらと違って特に上下の意味はないので、やはりリストアップだけが特殊なのかなと思いました。

ちなみに、英語ではリストアップすることを単純にlistと言います。

2013年7月27日土曜日

ハーティー割引

日本語として定着しているハートフルという言葉はほぼ完全な和製英語です。「心からの」という意味だと思いますが、「heartful」は通じません。

巨大な英和辞典には「heartful」が載っていることがありますが、一般的な言葉ではなく和製英語と認定できるレベルだと言えるでしょう。

携帯電話会社が「ハートフル割引」という言葉を使っていましたが、最近は見なくなったような気がします。私が使っているドコモは「ハーティー割引」です。

ドコモはハートフルが和製英語だと知って意図的にこの言葉を避けたのではないかと思っています。しかし、ハーティー(hearty)という言葉は日本語として決して定着しているものではないので、「ハーティー割引」と言うのはかなり無理がありますね。日本語として意味がわからないのです。

「リスク」「ケア」「トラブル」「コンシェルジュ」など理解できない外来語が多く使用されていることで精神的苦痛を負ったとNHKに141万円の慰謝料を求める訴えが起こされたというニュースが最近話題になりましたが、その前にドコモを訴えて下さい(笑)。

「NG」は優秀な...

最近とても気になっている日本でよく使われている言葉が「NG」です。それなりに公式な文書に「○○はNGです」と書かれていて驚くことがあります。もちろん、ネットには「NG」という言葉がいくらでもあふれています。

私もさんざん見聞きしていて「NG」の意味がわからないわけではないですが、日本以外では見たことがないし、何の略なのかまでは知らないので、Googleに「NGとは」と入れて検索してみました。「no good」の略なのだそうです。「no good」はともかく、アメリカで「NG」って言うかなあ?

私には美しい日本語を書ける能力はありませんが、さすがに「NG」を日本語の中に織り交ぜて書くほど無神経ではありません。日本語の中に書く「OK」ですら十分気色悪いのに、「NG」はいくらなんでも酷すぎませんか?

「NG」なんて言葉を書いている(言っている)人や会社は、その程度なんだろうなと判断すればいいですね。「NG」は優秀なバカ発見器です(笑)。

ワンマン、ワンタッチ、ワンプッシュ、ワンコイン

コインランドリーのように和製英語と思っていたら、実際に英語圏の国に存在していたというのはときどきあることで、どんな言葉でも100%和製英語であると言い切るのは難しいと思ってます。どこかの国に反例が存在することはとても多いのです。

しかし、数少ない反例をもって英語圏の国で広く通用すると主張するのも無理がありますね。

和製英語かどうかが微妙なのがワンマンとかワンタッチとかワンプッシュとワンコインなどという日本では一般的なワンのつく言葉です。

ワンマンはLongmanにも次のように載っています。

one-man [only before noun]
performed, operated, controlled etc by one person

ワンタッチも「one-touch operation」といった用例はあるようですが、そんなに一般的な言葉ではないと思っています。ワンプッシュになるともっと珍しいです。


ワンコインは和製英語の度合いが最も高いと思っています。なぜなら、アメリカでは1ドルコインはほとんど使われていないので、実質的な最高額が25セントコイン(quarter)になっているからです。25セントではたいしたものは何も買えないので、ワンコインという言葉が500円硬貨がある日本と同じように使えるはずがありません。

アメリカにおける使用頻度で言えば、ワンマン>ワンタッチ>ワンプッシュ>ワンコインではないでしょうか?(私はどれも聞いたことがないですが。)

2013年7月26日金曜日

justの奥深さ

英語でよく出てくる単語にjustがあります。たいていonlyやexactlyの意味なのですが、文脈によって変化する幅広い意味があり、justが文中にあることで意味が大きく変わることもあります。

例えば、「Just do it!」と言えば、「つべこべ言わずにやれ!」の意味になったりします。

私がjustの奥深さを感じたのは、レストランでよく使われる「Just water, please.」です。「飲み物は何になさいますか?」というよくある問いに対して答えるときの「水を下さい」という意味なのですが、アメリカだと水は通常無料で出てくるので、チップ収入が大きいウェイター(ウェイトレス)にとってはうれしいことではありません。

そういうアメリカで私がこのjustに感じるニュアンスは、「水なんて注文してすみません。でも、私には有料の飲み物を注文するほどお金に余裕がないのです。水があなたの利益にならないことは十分わかっています。それは心苦しく思っているのですが、今は水を持ってきて欲しいのです。」というものです。

それだけの意味を「Just water, please.」というたったの三語で伝えられるのだから、英語はすごいと思ってしまいます。

また、お店で商品を見ているだけのときに店員さんに声をかけられることがあります。「May I help you?」ですね。そこで「Just looking, thank you.」と答えるのが常套句です。これは「見ているだけですみません。でも、私は今のところただ商品を見たいだけで、あなたのお手伝いは必要としていないのです。見ているだけではあなたのお店の利益にならないことは十分わかっています。それは心苦しく思っているのですが、もしかすると買うかもしれないので、今はそっとしておいて下さい。」というものでしょう。

これだけの意味をやはり「Just looking, thank you.」という四語で伝えられるのだからすごいと思ってしまうのです。

2013年7月25日木曜日

ホームドアのあれこれ

日本のおもしろい和製英語にホームがあります。これがhomeなら別にいいのですが、鉄道の駅にあるplatformなので和製英語に認定です。

なぜ昔の日本人はplatformを...フォームと書かずにホームと書いてしまったのでしょうね?こういうニッポンのオヤジ的言語感覚が私にはたいへん気持ちが悪いです。

これは日本人がいかに英語の音が苦手であるか、つまり、いかに英語の音を正しく聞き取ったり発音したりできないか、ということの現れだと言えるでしょう。

ホームが和製英語ならホームドアも当然和製英語ということになりますね。Westinghouseというホームドアを作っている会社はPlatform Screen Doors (PSD)と呼んでいます。Westinghouseによると、PSDには以下の3種類あるようです。

Platform Screen Doors (PSD): 大分類のPSDと同じ名前というのがややこしいのですが、ホームから天井までを完全に遮るタイプのホームドアです。ホームの空調を考えればこれが最も優れていますが、既設のホームを後から改修する場合、この方法を採用するのは難しくなります。


Platform Edge Doors (PED): これはホームから2.3~2.5mくらいの仕切りを設けて、その上側には仕切りがないものです。この方法であれば既設のホームを改修する場合にも使えます。


Platform Screen Gates (PSG): これはホームから1.3~1.7mくらいの仕切りを設けるもので、ば既設のホームを改修する場合にもいちばん簡単に設置することができます。人間が乗り越えようと思えば乗り越えられるため、安全面ではPSDやPEDに劣ります。


こういう新しい言葉はまだ英語圏の隅々まで浸透してはいないだろうし、何と言うのか知らないという人は英語圏にも多いことでしょう。ただ、驚いたことにあの英辞郎にもまだ載っていないようです。

2013年7月24日水曜日

飛行機の夏ダイヤ

和製英語は興味深い日本の英語文化だと思っています。空港連絡バスをなぜか日本ではリムジンバスと誰もが呼んでいて、日本の真似ばかりしている韓国がやはりリムジンバスと呼んでいて笑ってしまうとか、いろいろ楽しいことがありますね。

コインランドリーは和製英語だと言われていて、日本の英和辞書にはcoin-operated laundryなどと説明調に書かれていますが、実はアメリカやオーストラリアの街角でときどき見かけるということもありました。ちなみに、アメリカのMotel 6は公然とcoin laundryと表記しています。

最近とても気になっているのが、飛行機の夏ダイヤとか冬ダイヤという表現です。このダイヤはもちろん英語の「diagram」(図表や略図)から来ているのですが、これは主に列車がすれ違ったり追い越したりする鉄道で使われるものです。

2地点間をダイレクトに移動する飛行機には「diagram」はもちろん必要ありません。

しかし、「ダイヤ=運行時刻」のような意識を刷り込まれてしまった日本人は「○○航空が冬ダイヤを発表」などと言ってしまうわけですね。それを聞いても何も違和感を感じないなら、そういう人はやはり「ダイヤ=運行時刻」という意識が頭に刷り込まれてしまっているのでしょう。

和製英語は言語学的にも文化的にもとてもおもしろいものなのですが、英語を使いこなそうとするならこれほどやっかいなものはありません。

私も経験がありますが、うっかり和製英語が口から出てしまって相手に理解されなかったときの「あー、やっちゃった」感がなんとも恥ずかしいです。英語を書くときにも和製英語は深層心理のレベルで様々な悪影響を及ぼします。

夏ダイヤ、冬ダイヤはそれぞれ夏スケジュール、冬スケジュールと言うようにしてはどうでしょうか?スケジュールなら英語でも大丈夫です。

やはり、Did you know ...?

この前、トリビア的な知識を問うときにしばしば「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」が使われるという記事を書きました。

そしたらタイムリーなことに、今日の授業中に学生の持っていたかばんにもこの表現がありました。


「Did you know that one in four American adults suffers from high blood pressure?」(4人に1人のアメリカの成人は高血圧に苦しんでいることを知っていますか?)で話が始まっています。

こういう問いかけから話を始めることで人々の興味を引くのは英語ではとても一般的な方法です。日本語ではあまり見かけないので、英語的な表現と言えるのではないでしょうか?

そして、このときよく使われるのは「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」です。現在形の問いかけはあなたがその答えを知っていることを私は期待しているという意思が感じられる直接的な言い方です。例えば、下の例文のように使われます。

Do you know what time the next bus comes?

ゆえに、トリビア的な知識を問うときは相手が答えを知っていることを期待しない遠回しで距離感のある「Did you know ...?」がよいということでした。

それにしても、SuffersとSが大文字になっている理由がよくわかりませんね。sは大文字と小文字の区別がつきにくいので、印刷屋さんが間違えたのかも?

2013年7月23日火曜日

jumbo mugが欲しい

日本語でもときどきあることですが、「これ、英語でなんて言うんだっけ??」と悩むことがあります。今日の悩みはこれでした。


これはアメリカの有名なテレビドラマ「Friends」に出てくるニューヨークのカフェ「CENTRAL PERK」のコーヒーカップです。こんな大きなカップでコーヒーを飲んでいるのがとても印象的なドラマでした。

さて、その昔所用でアメリカに住んでいたとき、家にはこの手のカップが一つあっただけでした。これ一つでご飯でもインスタントラーメンでも何でも食べることができました。未だに家ではアメリカで買ったこのカップで何でも犬みたいに食べています。

しかし、こういうカップを日本で買おうとしたらなかなか見つかりませんね。アメリカだと大学のブックストアや国立公園のギフトショップなどいろんなところでご当地デザインの素敵なカップが買えるんですが。

さて、この大きなコーヒーカップを英語で何というかネットで調べた結果ですが、「jumbo mug」と書かれているところがたくさん見つかりました。アメリカは何でもジャンボですね。こんなのもありました(笑)。

2013年7月21日日曜日

Do you know ...? それともDid you know ...?

最近(英語圏の国の)街角でよく見かけるとても気になっている言葉があります。それは、例えば

Did you know tigers live only in Asia?

のように、トリビア的な知識を問うときにしばしば(私の経験では85%くらいの確率で)「Do you know ...?」ではなく「Did you know ...?」が使われるのです。

現在形と過去形のどちらが正しいのか、それともどちらでもいいのか、しばしば英語圏の英語学習サイトでも話題になっているようですが、人によって言っていることも違っていて、明確な答えは見つかりませんでした。

英語を含めて言葉というのは文脈の中で意味を持つものなので(つまり文脈がすべてなので)、文脈なしにどちらがいいとか悪いとか言えないのですが、私があれこれ調べた範囲では両者に大差はなく概ねどちらでもいいようです。

いろいろ議論がある中で私の心の中にすとんと落ちるものがあったのが、このページの回答なのでご興味ある方はぜひとも読んでみて下さい。その内容を要約すると概ね次のようなものです。

英語の過去形は「距離感」を表していて、それは時間における距離だったり現実との距離だったり心理的な距離だったりします。現在形の「Do you know ...?」にはあなたは知っているはずだ、私はそれを期待しているという「尋問」に近いような響きがありますが、過去形の「Did you know ...?」は「あなたはもしかすると聞いたことがあるかもしれませんが」くらいの遠回しで柔らかい感じがします。だから、過去形の場合は「あなたが知っていても知っていなくてもどちらでもいいのですよ。これから私が教えてあげますから...」となるのです。

だから、トリビア系の質問ではしばしば「Did you know ...?」が使われるわけですね。英語の過去形は本当に丁寧で美しいです。

ちなみに、トラはシベリアを含むアジアの生き物でアフリカには住んでいません。ご存知でしたか?(笑)

2013年7月19日金曜日

beautiful natureと言えない理由

「ここがおかしい 日本人の英文法II」という本に「「美しい自然」とは言えてもbeautiful natureと言えないのはなぜか」というトピックがありますが、これはとても難しいです。




Longmanではnatureを以下のように説明しています。

Nature [uncountable] everything in the physical world that is not controlled by humans, such as wild plants and animals, earth and rocks, and the weather

日本人の感覚だと「nature=自然」と自動的に訳してしまいがちですが、必ずしも私たちがイメージする自然を指すわけではないことがわかります。しかも、人間がコントロールすることができないこの世のすべてのものを含んでいるとのことです。

このようなすべてを含むnatureという単語に、beautifulという限定的な形容詞をつけることは英語的には不自然ということのようです。美しいnatureがあるなら美しくないnatureもあることになりますが、いろいろなnatureがあるのはロジックとしておかしいからです。

Longmanにはnatureの項目にちょうど以下のような例文がありました。

We grew up in the countryside, surrounded by the beauties of nature.

日本人はこういうときbeautiful natureと書いてしまいますが、natural beautyとかbeauty of natureという書き方がいいようですね。

一方、Yahoo!知恵袋には以下のような反論もありました。

1. 確かにNational Geographicサイトに限定すれば1件(one of the many beautiful nature photographs)だけですが、米政府系サイトでは多少あるので、一般的でなくても許容はされているのではないでしょうか。

2. googleで検索するとbeautiful natureは用例が5百万件も出て来ますが。

1.の反論はまずこの1件がおかしいです。beautiful nature photographsはbeautifulなphotographsを意味しているので、beautiful natureへの反証にはなりません。

2.についても、1.のような事例がすべてカウントされること、英語が母国語ではない、英語が得意ではない人が書いたものも含まれることを考えれば、これだけで反証にはならないでしょう。