2015年4月18日土曜日

私はあなたを心配しています

「私はあなたを心配しています」を英語にすると

a) I am worried about you.
b) I worry about you.
c) I am worrying about you.

の3つの言い方があります。aは最も一般的な言い方で、家への帰りが遅いので心配になっているなど、ある時点での心配ならこの言い方が鉄板と言えるでしょう。日常的にあなたのことをいつも心配しているという場合はbが使えます。

こちらこちらこちらで議論になっているのはcです。大方の結論としては、間違いというわけではないが、あまり使われないとのことです。文脈によっては不適当とされていることもあります。最近ますますアジア圏の英語に毒されている私には違和感がなかったのですが、今後は気を付けようと思いました。

ところで、オーストラリアやニュージーランドに行くとNo worriesという言葉が頻繁に使われていることに驚きます。アメリカでは私は聞いたことがありませんが、イギリスでも使われているそうです。意味はもちろん「心配するな」ですが、「どういたしまして」にもなるそうで、言葉の奥深さを感じます。

2015年4月10日金曜日

映画を観るはseeかwatchか?

英語で「映画を観る」はsee/watch a movieと言いますが、どちらを使うべきでしょうか?これに関して「ほぼ毎日 英語学習日記 ~ 英語holic ~」さんのところには下のような説明があり、seeは映画館で観る、watchはテレビやDVDやPCで観るとされています。

・look…意識的にあるものに視線を向ける
・see…意識しなくてもあるものが自然と目に入る
・watch…人や物の動きなどを目で追って観察する


映画館のスクリーンは大きくて勝手に映像が視界に飛び込んで来るからsee、テレビなどは小さな画面を注視する必要があるのでwatchという説明はわかりやすいです。映画を観るときはseeを使い、watchは使わないと書いているサイトもありますが、それは映画館のことを言っているのでしょうね。

ただ、家でテレビなどで映画を観るときにもseeを使っている事例はいくらでもあり、その逆もないわけではないので、家か映画館かでばっさり分けるのは無理があるようです。ここここここなども参照すると、人によって文脈によっていろいろあるということがわかります。

さて、映画を観に行くことをgo to the moviesと英語では言います。これは日本の学校でも英語の授業で習いますね。なぜ、theがつくのか、なぜmovieが複数形なのかを考えてもこれといって合理的な理由があるわけでもなく、これ自体を慣用句として丸暗記した方がよさそうに思われます。確かなことは、このthe moviesが映画を上映している場所、すなわち映画館を意味しているということです。

2015年4月8日水曜日

It's a SONY.

ここ何年も衰退を続けてきたソニーですが、最近ちょっとだけ盛り返しているようですね。APPLEに負けないようがんばって欲しいものです。

さて、昔々テレビで「It's a SONY.」というCMがたびたび流れていました。「これはソニーの製品です」という意味です。なぜSONYにaがついているのかと言えば、本来輪郭のない固有名詞のSONYがソニー製品として輪郭を持っているからです。トヨタや本田の車に対しても「It's a Toyota.」や「It's a Honda.」などと言えます。

英語の冠詞を理解するにあたって、名詞の輪郭というものがとても大切だと思っています。しかし、ビールをグラスに注げば液体が輪郭を持つので「a beer」になるくらいの柔軟性があることまでは日本の学校では教えてもらえませんね。

2015年4月5日日曜日

ライオンは哺乳類である

「ライオンは哺乳類である」と英語ではなんと言えばいいでしょうか?これにはいくつか言い方があります。

1. A lion is a mammal.
2. The lion is a mammal.
3. Lions are mammals.

これらのどの言い方でも通用します。「2.」で「The lion」はライオンという種に対する総称的な言い方ですが、この表現は若干堅いと言われます。また、「2.」は「そのライオンは哺乳類です」とも読めますが、そのライオンだけが哺乳類であるのは変なので、ふつうはそうはならないはずです。

一方、下の言い方は難がありそうです。

4. The lions are mammals.
5. Lions are a mammal.

「4.」は「そのライオンたちは哺乳類です」となりますが、哺乳類ではないライオンはいないので、ふつうは意味としておかしな文章です。「5.」は「Lions」が複数なのに、「mammal」が単数となっていて、単複の不一致が気持ちよくありません。

ところで、下のような表現があちこち(こちらこちらこちらこちら)にあるのですが、animals(複数形)となるべきだと私は思います。

6. Lions are dangerous animal.

summer(季節)に冠詞は必要か?

日本は春夏秋冬と明確な四季のある国です。秋はアメリカでは通常fallと言いますが、日本では本当によく主にイギリス英語のautumnを使っていますね。railway(鉄道)やfaculty(学部)もそうなのですが、根強く日本で使われているイギリス英語には文明開化で導入されたもの(鉄道や大学)に多いように思っています。なぜautumnがこんなに使われているのかはとても興味深いです。

さて、「夏に」という意味で「in summer」「in the summer」と両方書かれているのを見かけます。これらにはどういう意味の違いがあって、どのように使い分ければいいのでしょうか?ネイティブの人たちもこれらの違いについて結論に至っていないように見えます。もちろん、「in the summer of 2015」のように特定の夏の場合はtheがつくわけですが、これはまた別の話です。

概ね「in summer」は毎年(日本なら7~8月あたりに)巡ってくる一般的な夏という意味で使っているのではないかと思っています。つまり「毎年夏になると」という意味です。「in the summer」は「春夏秋冬という四季の中での夏の時期には」という意味ではないかと思っています。といっても、両者の違いはほとんどなく、どちらでも使える場合がほとんどだと思いますが、どちらかの方が文脈に合っている場合もあるでしょう。

Many tourists visit Kyoto to see cherry blossoms in spring.
(多くの観光客が毎年春になると桜の花を見るために京都を訪れます。)

We should not visit Kyoto in the summer because it is too hot to walk around the city.
(夏の時期には京都を訪れるべきではありません。なぜなら街を歩き回るには暑すぎるからです。)

山、海、川、湖の冠詞

1. 山の場合、定冠詞は不要です。Mt. Fujiなどと書きます。ただし、山脈の時には必要で、ロッキー山脈はthe Rocky Mountains(the Rockies)と書きます。カルパチア山脈はthe Carpathian Mountains(the Carpathians)です。

2. 海の場合、定冠詞が必要です。the Pacific Oceanなどと書きます。

3. 川の場合、定冠詞が必要です。the Nile Riverなどと書きます。the Nileでもいいです。運河も川と同じく、the Suez Canalのように定冠詞が必要です。

4. 湖の場合、定冠詞は不要です。Lake Biwaなどと書きます。

ついでに、島や湾や半島や岬や海峡や滝や砂漠はどうでしょうか?

5. 島の場合、定冠詞は不要です。Honshu Islandなどと書きます。ただし、群島の場合は定冠詞が必要で、 the Philippines(フィリピン群島)、the Hawaiian Islands(ハワイ諸島)などと書きます。

6. 湾の場合、定冠詞は不要です。San Francisco Bayなどと書きます。ただし、the Persian Gulfのように大きな湾(gulf)には必要です。

7.半島の場合、定冠詞が必要です。the Malay Peninsulaなどと書きます。

8. 岬の場合、定冠詞は不要です。Cape Erimo、Cape Codなどと書きます。ただし、the Cape of Good Hope(喜望峰)と冠詞を伴うものもあります。ofがあるのでいかにもそうなりそうですね。

9. 海峡の場合、定冠詞は必要です。the Tsugaru Straitなどと書きます。

10. 滝の場合、定冠詞は不要です。Niagara Fallsなどと書きます。こういう大きな滝は滝がたくさん連なっているとみなされてしばしば複数形(Falls)です。

11. 砂漠の場合、定冠詞は必要です。the Sahara Desertなどと書きます。

これ以外にも公園・街路・広場・駅・空港・橋には定冠詞は不要です。大陸や国、都道府県、市町村も不要です。こういうのはひたすら覚えるしかないのでしょうか?

概ね、大きなものや境界の曖昧なものには定冠詞がついており、小さなものや境界のはっきりしたものには定冠詞がありません。もちろん、これらの冠詞の法則については例外に出くわすことがたびたびあります。そういうものに対しては、それぞれに理由があると思うので、それを考えたり調べてたりしてみたらおもしろいでしょう。

2015年4月1日水曜日

冠詞の基本的ロジック

英語の冠詞に対する私たち日本人の混乱は根深いものがあります。実はアメリカ人になぜここはtheなのか?などと質問してもまともな答えは返ってきません。実際、アメリカ人に「なぜかは説明できないけれども、そういうことは生まれたときからわかっている」と言われました。しかも、冠詞を間違えることはないと断言されました。

There is a book on the desk.

という簡単な文でも、なぜbookの冠詞がaで、deskの冠詞がtheなのか、日本人にはなかなかわからないものです。aが付いているものは話者と聞き手の間に共通の認識のないもので、theが付いているものは、すでに共通の認識のあるものと考えればいいでしょう。

この場合のthe deskには話者と聞き手の間に共通認識があるのでしょう。つまり、両者がどの机なのかを(すでに話題になっているなどして)知っているということです。一方、話者は、聞き手は具体的にどの本なのかわからないと想定してa bookと言っています。このロジックによると、以下の文では共通認識のあるテーブルの下に、聞き手には未知なる猫がいると考えられます。

There is a cat under the table.

もし、deskやtableにもaが付いていたら、聞き手が具体的にイメージできる世界がなくなります。

There is a book on a desk.
There is a cat under a table.

こういう使い方ができるのは、例えば

Once upon a time there lived an old man in a village.

のような場合が考えられます。これは聞き手が知らない遠い昔の(おそらくは)架空の世界です。

そういうわけで、教科書や参考書に出てくる英語の例文にはいきなりdeskやtableにtheが付いているのだと思います。しかし、冠詞の仕組みが十分理解できていない中学生に、こういう例文をいきなり覚えさせるのは適切ではないでしょうね。これでは中学生が混乱するのも当然です。