英語の冠詞に対する私たち日本人の混乱は根深いものがあります。実はアメリカ人になぜここはtheなのか?などと質問してもまともな答えは返ってきません。実際、アメリカ人に「なぜかは説明できないけれども、そういうことは生まれたときからわかっている」と言われました。しかも、冠詞を間違えることはないと断言されました。
There is a book on the desk.
という簡単な文でも、なぜbookの冠詞がaで、deskの冠詞がtheなのか、日本人にはなかなかわからないものです。aが付いているものは話者と聞き手の間に共通の認識のないもので、theが付いているものは、すでに共通の認識のあるものと考えればいいでしょう。
この場合のthe deskには話者と聞き手の間に共通認識があるのでしょう。つまり、両者がどの机なのかを(すでに話題になっているなどして)知っているということです。一方、話者は、聞き手は具体的にどの本なのかわからないと想定してa bookと言っています。このロジックによると、以下の文では共通認識のあるテーブルの下に、聞き手には未知なる猫がいると考えられます。
There is a cat under the table.
もし、deskやtableにもaが付いていたら、聞き手が具体的にイメージできる世界がなくなります。
There is a book on a desk.
There is a cat under a table.
こういう使い方ができるのは、例えば
Once upon a time there lived an old man in a village.
のような場合が考えられます。これは聞き手が知らない遠い昔の(おそらくは)架空の世界です。
そういうわけで、教科書や参考書に出てくる英語の例文にはいきなりdeskやtableにtheが付いているのだと思います。しかし、冠詞の仕組みが十分理解できていない中学生に、こういう例文をいきなり覚えさせるのは適切ではないでしょうね。これでは中学生が混乱するのも当然です。
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