2014年1月30日木曜日

インターネット言語としては英語は圧倒的な存在ではない?

インターネットの世界は英語の情報量がとても多いので、英語がわからないと有益な情報にアクセスできないことになります。

特に学術論文は英語で書かれるのが基本なのですが、林業の世界では英語に次いで情報が多いのはドイツ語なので、ドイツ語もわからないと研究に支障が生じます。ドイツ語の文献を読まないといけないときは、いつも自動翻訳のお世話になっています。

ツイッターで@Kelangdbnという人が「インターネット言語としては英語は圧倒的な存在ではない」などとデータ付きで主張していて、そうだったのかと驚いてしまいました。


ところが、このグラフをよく見ると、横軸の単位がページ数ではなく、「Millions of Users」となっていることに気づきます(タイトルにもそのように書かれています)。インターネットユーザーの数なら中国人が多いのは理解できます。中国は分母としての人口が桁違いに大きいのだから、自動車の販売台数も携帯電話の普及台数も統計上の数値は中国が多くなってますね。

いずれにしても、このグラフを根拠に「インターネット言語としては英語は圧倒的な存在ではない」という主張するのは間違っているのではないかと思いました。このグラフの引用元のページに詳しくグラフの説明が書かれているので引用するなら読んでおくべきです。

2014年1月28日火曜日

現在完了形に使われるfor、in、over

現在完了形とともに使われる「for the last ten years」「in the last ten years」「over the last ten years」のようなfor、in、overはどのようなルールで使い分ければいいのか考えてみました。

forはある期間に状態が継続しているときに、inはある期間の途中で1回以上起こったとき、あるいはある期間の途中で1回以上起こる可能性があるのに一度も起こらなかったとき、overはある期間継続して(あるいは絶えず反復して)起こっていたときに使うと言えそうです。overと考えられる場合でも、ある期間継続していたことの結果として起こったことならばinでもいいようです。

weblioにはforのときは以下のような例文がありました。

a. There has been a gradual growth in membership for the last ten years.
b. I've seen nothing of her for the last ten years.

a.は過去10年間growthがあるという状態が継続していたのでforになっています。
b.は過去10年間会っていないという状態が継続していたのでforでいいのですが、過去10年間に1回以上起こる可能性があるのに一度も起こらなかったとも言えるのでinも使うことができます。

inのときはweblioには以下のような例文がありました。

c. He hasn't changed a hair in the last ten years.

過去10年間に1回以上起こる可能性があるのに一度も起こらなかったのでinになっていますが、過去10年間変わらなかったという状態が継続していたのでforも使えると思います。

overはweblioに次のような例文があります。

d. The birth rate has decreased [dropped] by 40% over the last ten years.
e. Thunderbolt Aerosystems has made many improvements over the last 10 years.

d.は過去10年間継続して減少していたのでoverとなっています。しかし、decreasedの直後に「by 40%」があり、過去10年間継続して起こっていたことの結果として40%の減少だったということなので、ここはinでもいいと思います。

e.は過去10年間継続して(あるいは絶えず反復して)起こっていたことなのでoverでいいです。

for、in、overの違いはそれほどはっきりしたものではなく、人によって言葉の使い方も異なるので、必ずしもこのルールに従っていないことが実際にあると思います。このルールがどれだけ正しいか今後も検証を続けていきたいと思っています。

2014年1月20日月曜日

英語の日本語訳は難しい?

英語を日本語に訳すのは簡単だと思っている人が多いと思いますが、外国語の本を全訳したことがある経験から言えば、翻訳というのは英語の理解のみならず日本語を上手に書く技術も必要だし、原文の意味を損なわない範囲で日本語の言葉が気持ちよく流れるように意訳する能力も求められ、本当に難しいと思います。

じゅんたこさんの書かれたブログ記事「「日本人なら必ず誤訳する英文」だって」を読んで思ったことを書いてみます。じゅんたこさんは、この英文の訳にある「欠如」は誤訳であると断じています。(その理由はリンク先をご覧下さい。)

Students who start their research projects,when confronted with the problem of proof,discover that the majority of the proofs that they may have criticized other researchers for failing to demonstrate are,in fact,extremely difficult to prove.

(訳)学生たちがいざ調査に取り組んで、証明の問題に直面すると、かつてほかの研究者たちの調査に欠如していると批判してきたであろう「証明」の大半が、実際には非常にむずかしいものであることに気づく。


しかし、これが誤訳とは私は思いませんでした。この程度は意訳の範囲内だと思うからです。これまで「実証できていないじゃないか」と他人を批判してきたのに、いざ自分で実証しようとすると予想以上に難しかったという原文の意味は損なわれていないからいいと思います。

私が気になったことは「projects,when」「proof,discover」「are,in fact,extremely」のように「,」の後に空白を入れていないことです。原著には空白があったのではないかなと思います。空白がないと本当に気持ちが悪いです。

日本語訳に関してうるさいことを言うなら、「調査」よりも「研究」の方がいいと思います。(もちろん、前後の文脈から適訳を考えないといけないですが、大学での学生の研究活動という意図だろうと想像しました。)

「批判してきたであろう」という訳も日本語的に気持ち悪いですね。受験英語ではこういう風に書いておかないと減点されるので昔は私もそうやってましたが、こういう不自然な日本語は意訳することでなくしていくべきだと思っています。原文が複数形だからでしょうが、「学生たち」とか「研究者たち」と律儀に訳しているのも受験英語の作法なのでしょうね。

この英文の翻訳に私も挑戦してみました。

「研究活動を始めたばかりの学生は、これまで実証に失敗してきた研究者を批判していた証明問題の大半が、実はきわめて難しいものであったことに自分でやってみて初めて気づきます。」

意訳しすぎですかね?前後の文脈がわかれば、それに応じてもっと大胆に意訳したいところです。素人の私にはこの程度が限界ですが、プロの翻訳家はきっともっと上手に翻訳すると思います。

2014年1月18日土曜日

日本人は日本語で書きましょう

こんな貼り紙を見つけたのですが、私はこういうのが大嫌いです。何が嫌いなのかというと、まずは左上「Let' s」と書かれているところのsの前の空白です。こんな空白を入れることに気持ち悪さを感じないのかなと思ってしまうのです。


おそらくは、全角文字を使ったのでそうなったのだろうなと思うのですが、このような2バイト文字は英語の世界では不要なものであって使われることはありません。文字化けの原因にもなるので、英語を書くときは全角文字を使わないのが鉄則です。

朝日新聞デジタルとかは英語を記事の中に書くときに平然と全角文字を入れてますが、読みにくくて仕方がないですね。URLまで全角なのですから徹底してます。さすが天下の朝日新聞、さすが...といつも感心しています。

そもそも、なんで「Let's」なんてわざわざここに書いたのかという疑問もありますね。J-POPの歌詞もそうなのですが、日本人向けの文章などに英語の言葉を入れる必要があるのでしょうか?英語は格好いいという日本人の英語信仰は本当に格好悪いです。

「Self produced learning」も私にはそれほどぴんと来るものではないですが(Self-designed learning?)、「学びのセルフプロデュース」という日本語の意味はもっとわかりません。中途半端に英語を使うからこんなことになってしまうのです。そう言えば、カタカナ英語がわかりづらいと最近NHKを訴えた人もいましたね。

2014年1月17日金曜日

英語版の税関申告書

この前カタール航空の飛行機で帰国したのですが、機内に日本語の税関申告書がないと言われて唖然としました。その前に使った中国東方航空の機内にもなかったのですが、最近はこういうのが常態化してるんでしょうかね?

幸い英語版の税関申告書はもらえたので、それに記入したのですが、英語版には「Nationality」という日本語版にはない国籍を書く欄があることに気づきました。日本語で書く人なら国籍は日本だろうと想定しているようです。しかし、日本語が得意な中国人が日本語版の税関申告書を渡されてそれに記入することも当然考えられるわけで、日本語だから日本人という決めつけは間違っていると思います。

日本語版の税関申告書には同伴家族欄に「20歳以上 名」「6歳以上20歳未満 名」「6歳未満 名」とあるのに、英語版ではそれぞれ「Adult」「Under 20 years old」「Under 6 years old」となっていて両者が整合していないという不思議もあります。

国によって成人年齢は違うと思われるのに「Adult」では曖昧ではないでしょうか?海外では18歳で成人になる国が多いと思うのですが、19歳だったら「Adult」なのか「Under 20 years old」なのかわかりません。

その後の「Under 20 years old」「Under 6 years old」も、5歳だったら両方に該当してしまうという曖昧さがあります。なぜこのような仕様になっているのでしょうかね?外国では6歳以上20歳未満のような書き方はしないと考えたのでしょうか?そんなことは決してないと思いますけどね。

英語版の税関申告書は英語を母国語とする人のチェックを受けているようですが、それでもやはり日本人の作ったものだなと思われるところがいくつか見られます。

「Cash, Checks(including T/C)」のところですが、日本人の英語でありがちだとこの前も指摘しましたが、Checksの後に空白を入れないのは非常に気持ち悪いです。その後の「Promissory  Notes」も無駄に一つ多くの空白が入っているようで、気持ち悪すぎます。

英語のチェックは受けていることはわかるのですが、最後に印刷屋がレイアウトしたものを校正したのが日本人だったので、空白のおかしさには気づかなかったのだろうなと思われるのです。

2014年1月14日火曜日

A Happy New Year

年末年始はタイ、上海、ドーハ(カタール)、モロッコ、スペインと長期の旅に出ていました。この前帰国したばかりなのですが、その直後に関西空港から福岡までピーチの飛行機に乗ったときの搭乗券の英語を見て日本に帰ってきたなとしみじみ思ってしまいした。


全体的にツメの甘い英語だなと思われるのですが、そのくらいは許すとしても「OOKINI!!」「A Happy New Year!」がよろしくありません。

ピーチは関西空港を拠点とする航空会社なので関西弁の「おおきに」をアルファベットで書いたのでしょうが、外国人には難し過ぎます。こんなのを喜んでいるのは日本人だけでしょう。関西系日本人の独りよがりだと言えます。

「A Happy New Year!」は今さら言いたくないですが、英語として間違っています。こういう挨拶では「A」は不要で、「Happy New Year!」と書かなくてはなりません。日本の年賀状に「A Happy New Year!」と書くのは明らかにおかしいです。日本人同士で送ってるんだから、「あけましておめでとうございます」と日本語で書けばいいのにと、「A Happy ...」を見るたびにいつも思います。

「I wish you a happy new year!」と書くではないかと反論する人もいるようですが、挨拶ではなく通常の文章になっているので、この場合は「a」が必要です。

クリスマスの場合も挨拶では「Merry Christmas!」ですが、文章では「I wish you a Merry Christmas!」ですね。

ところで、Christmasにどうして「a」がつくの?Christmasは可算名詞なの?という疑問が起こるのですが、このChristmasは可算名詞と考えていいと思います。私は実際に見たことがないのですが、「And may all your Christmases be white」という複数形が出てくる歌詞もあるようです。

「A Merry Christmas to you!」とか「Merry Christmas and a happy new year!」も見たことがありますが、これも文章化しているところに不定冠詞がついたと考えるべきでしょう。

ちなみに、今どきのアメリカでは企業などがクリスマスの挨拶に宗教色を出さないように配慮しているので、「Merry Christmas!」ではなく「Happy Holidays!」などといった味気ない言葉がたびたび使われます。

日本でよく使われる「Happy Merry Christmas!」は見たことがないですね。これも英語ではありがちな(間違っているわけではないけれど)「ふつうはそうは言わない」というレベルのものではないかと思っています。