2014年1月20日月曜日

英語の日本語訳は難しい?

英語を日本語に訳すのは簡単だと思っている人が多いと思いますが、外国語の本を全訳したことがある経験から言えば、翻訳というのは英語の理解のみならず日本語を上手に書く技術も必要だし、原文の意味を損なわない範囲で日本語の言葉が気持ちよく流れるように意訳する能力も求められ、本当に難しいと思います。

じゅんたこさんの書かれたブログ記事「「日本人なら必ず誤訳する英文」だって」を読んで思ったことを書いてみます。じゅんたこさんは、この英文の訳にある「欠如」は誤訳であると断じています。(その理由はリンク先をご覧下さい。)

Students who start their research projects,when confronted with the problem of proof,discover that the majority of the proofs that they may have criticized other researchers for failing to demonstrate are,in fact,extremely difficult to prove.

(訳)学生たちがいざ調査に取り組んで、証明の問題に直面すると、かつてほかの研究者たちの調査に欠如していると批判してきたであろう「証明」の大半が、実際には非常にむずかしいものであることに気づく。


しかし、これが誤訳とは私は思いませんでした。この程度は意訳の範囲内だと思うからです。これまで「実証できていないじゃないか」と他人を批判してきたのに、いざ自分で実証しようとすると予想以上に難しかったという原文の意味は損なわれていないからいいと思います。

私が気になったことは「projects,when」「proof,discover」「are,in fact,extremely」のように「,」の後に空白を入れていないことです。原著には空白があったのではないかなと思います。空白がないと本当に気持ちが悪いです。

日本語訳に関してうるさいことを言うなら、「調査」よりも「研究」の方がいいと思います。(もちろん、前後の文脈から適訳を考えないといけないですが、大学での学生の研究活動という意図だろうと想像しました。)

「批判してきたであろう」という訳も日本語的に気持ち悪いですね。受験英語ではこういう風に書いておかないと減点されるので昔は私もそうやってましたが、こういう不自然な日本語は意訳することでなくしていくべきだと思っています。原文が複数形だからでしょうが、「学生たち」とか「研究者たち」と律儀に訳しているのも受験英語の作法なのでしょうね。

この英文の翻訳に私も挑戦してみました。

「研究活動を始めたばかりの学生は、これまで実証に失敗してきた研究者を批判していた証明問題の大半が、実はきわめて難しいものであったことに自分でやってみて初めて気づきます。」

意訳しすぎですかね?前後の文脈がわかれば、それに応じてもっと大胆に意訳したいところです。素人の私にはこの程度が限界ですが、プロの翻訳家はきっともっと上手に翻訳すると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿