2015年11月15日日曜日

「Please keep off the grass.」という立て札は間違いなのか?

命令形にPleaseをつけなくても相手のためを思って言っているならば失礼にならないという法則が英語にはあると思っています。警告や命令を出す場合も結局は相手のためになることなのでPleaseはなくてもいいと考えています。

「日本人の英語表現」(T.D. Minton著、国井仗司訳、研究社)という本の43~44ページに以下のような記述があります。Pleaseをつけなくても失礼だと苦情を言う人はいないという話です。

オックスフォードやケンブリッジの庭の、

Keep off the grass.

という立て札には、私の知る限りpleaseと書かれているものはありません(ロンドン交通局のMind the gap.も同様です)。それでも、苦情を言う人は誰もいません。

しかし、この前オックスフォードに行ったときに、有名なクライストチャーチの庭であっさり見つけてしまいました。


ロンドンでは確かにPlease mind the gap.と書かれた注意書きは見ませんでしたが、地下鉄のアナウンスではPlease...と言っていました。


Please mind the gap between the train and the platform. This is Knightsbridge. This is a Piccadilly line service to Heathrow Terminals 4 and 1, 2, 3.

ちなみに、香港の地下鉄(MTR)ではドアにはPlease mind the gap.と書かれています。日本を含むアジアではPleaseを使うことが丁寧であると信じられているので、Pleaseを使うことが多いです。

この事例から見て、イギリスでは警告や命令にはpleaseはつけないことが多いのでしょうけど、つけたとしても問題はないのだろうなと思いました。

on the busかon a busか?

「バスの中で財布をなくしました」を英語で言うと次のどちらになるでしょうか?

1. I lost my wallet on the bus.
2. I lost my wallet on a bus.
3. I lost my wallet in the bus.
4. I lost my wallet in a bus.

まずバスの場合はonなのかinなのかという疑問がありますが、onの方が優勢です。タクシーの場合はinでしょう。なぜバスの場合はonなのか理由が気になりますが、自動車のサイズが違うとか、乗り込む姿勢や方向が違うとか様々な議論があるようです。airplane、ship、busなどは、乗客は乗り物の運転に影響を及ぼさず貨物のように運ばれている感があり、car、taxiなどはそうではないということが「日本人の英語」(岩波新書、マーク・ピーターセン著)に書かれています。

次にthe busなのかa busなのかというのがありますが、交通手段にはtheを付ける法則があります。これは楽器にtheをつけるのと同じ理由です。

こちらのページの7-2によると、「定冠詞”the”にはモノのカタチから本質を抜き出す機能がある。これを利用し、楽器を演奏する際は”the”をつけて表現することが多い。モノとしての楽器よりも、それが生み出す創作物に注目するからだ。」とあります。

この法則によると、the busでは箱型の大型乗用車ではなく人を運ぶ交通手段であることが強調されるのではないかと思われます。もちろん、a busが間違っていると言うことではありませんが、この場合はモノとしての箱型の大型乗用車でしょう。

そういうわけで、無難な答えはこれだろうと思うのですが、もちろんこれ以外が絶対的にダメであるとは言えないでしょう。

1. I lost my wallet on the bus.

例えば、下のような例文がこちらにありますが、これにも違和感はないと思います。

2. I lost my wallet on a bus in Tokyo.

ちなみに、無冠詞でby busというのもごく普通の言い方ですね。

I went there by bus.

2015年7月3日金曜日

at nightとin the nightの違いは何か?

英語で「夜に」はat nightのこともあるしin the nightのこともあります。この2つをなんとなく使い分けていましたが、ニュアンスの違いが気になったので調べてみました。

日本語のサイトにもいろいろな説明があるようですが、その説明はどれも曖昧でわかりにくいと感じました。それはちょっと違うのではないかと思われる説明もありました。私の心にいちばん響いた説明はこのサイトにあるものです。

"At night" just means "while it is night outside". "In the night" usually means that something is happening outside or in the darkness of the night.

at nightはただ単に時間的な夜あるいは夜の時間帯を意味していて、in the nightは夜の深い暗闇の中で何かが起こっている、あるいは何かが起こりそうな状況を意味しています。私は前者は「時間」が強調されていて、後者では「暗闇」が強調されていると解釈しました。

もちろん、at nightでもin the nightでもどちらを使ってもいい場合もあるでしょうが、両者のニュアンスには明確に違いがあります。先ほどのサイトには以下のわかりやすい例があります。

"I went to the park at night" would mean that you went when it was dark, but I would assume that it was still at a time when most people would be awake.

"I went to the park in the night", to me, would imply that it was late at night at an unusual hour, probably when most people were asleep.


前者は単なる夜の時間帯であって、深い暗闇を想起させるものではありません。おそらくまだ街の灯りがついている時間でしょう。後者は街の灯りが消えてしまった深い暗闇です。何か怖いことが起こりそうな感じがして心がざわつきますね。

2015年6月6日土曜日

「Think different」か「Think differently」か?

スティーブ・ジョブズ時代のアップルのスローガンに「Think different」というのがありました。なぜ「Think differently」ではないのかと考えた人は多いのではないかと思います。私も考えましたが、その理由を追及することもなく当時はスルーしていました。

文法的には「Think differently」が正しいです。ただ、「Think different」と言っても口語レベルなら、目くじらを立てるような問題にはならないと思います。マクドナルドのスローガンに「i'm lovin' it」というのがありましたが、iが小文字であるとかloveが現在進行形になっているとか、英語の文法的にはアウトなんでしょうけど、やはり口語レベルでは気にならない程度のものでした。

なぜ「Think differently」ではなく「Think different」なのかは英文法の問題というよりも広告の問題だと思われるので、あーでもないこーでもないと英文法的な検証をするよりもスティーブ・ジョブズや広告会社にどういう意図があるのですかと理由をきいた方がいいでしょう。おそらくは、人々の目を引く必要がある広告的には「Think differently」では保守的なので、あえて文法を逸脱することで常識を越えて考えることをイメージしたかったのではないでしょうか?

「Think different」か「Think differently」かについては英語圏でもあまりに多くの議論があるようですが、こちらの説明がわかりやすいと思いました。

"Think differently" would mean: Please think in a way that is different from the way that other people are thinking. "Think different" means: Think about things that are different, or how to do things that are different. The slogan doesn't tell you how to think, but what to think.

私は世の中の常識を越えるクリエイティブな発想の大切さをアメリカの大学で学びました。世の中の常識から考えて、そんなことは無理に決まっている、こいつはバカじゃないのかと思われるくらい飛び抜けた発想をする人がいなければ世の中は進歩しないのです。私のモットーは「常識を疑う」なのですが、それを英訳するならまさに「Think different」でいいのではないかと思っています。

2015年6月1日月曜日

Cup NoodleかCup Noodlesか?

日本では知らない人はいないと思われる日清のカップヌードルのカップには「CUP NOODLE」というアルファベットの表記があります。


しかし、これは海外に行くと「CUP NOODLES」という表記になっています。なぜなら、カップの中に麺はたくさんあるので、英語では通常複数形のnoodlesを使うからです。このとき単数形のnoodleを使うのは一般的ではないので、海外版では修正したのでしょうね。


英語でnoodleという表記もしばしば見かけますが、chicken noodle soupのように形容詞的な使われ方をしている場合が多いのではないかと思います。名詞の場合はnoodlesが一般的であると思っていて問題ないでしょう。

さて、日清のカップヌードルは「謎肉」も復活して最強になりつつありますね。私もカップヌードルが大好物なので海外で食べることもありますが、フィリピンのカップヌードルだけは非常にまずいので、なんとかして欲しいと思っています。

2015年5月27日水曜日

日本人はbutを使いすぎなのか?

インターネットには英語に関する記事がたくさんあって、参考になるものもたくさんありますが、これは本当なんですか?と疑問に思うものも時々あります。

「日本人は英文で「but」を使いすぎ!使い分けのコツとは?」というダイヤモンド社書籍オンラインの記事がその一つです。そもそも、日本人がbutを使いすぎというのはどういう根拠で言っているのかなと思いました。どこかに統計でもあるのでしょうか?ないですよね(笑)。

さて、この記事では「butは、逆接の意味があるときに使うもの」と断言しており、butの使い方が適切でない事例として以下のものをあげています。

× I completed building a castle with LEGO®. But my son got tired and fell asleep.
(レゴで城を作り終えた。しかし、息子は疲れて寝てしまった)
○ I completed building a castle with LEGO®. By then my son got tired and fell asleep.
(レゴで城を作り終えた。それまでに息子は疲れて寝てしまった)


このブログで私は文脈が大切であるといつも主張しています。この状況で想像できる文脈は、お父さんと息子がいっしょにレゴで城を作っていたというものです。二人で城が完成するのを楽しみにしながら何時間もいっしょにレゴと格闘していたのではないでしょうか。お父さん自身も息子の存在など忘れるくらいに夢中になっていたのかもしれないですね。そうやってお父さんが城を完成したときに、ふと息子の方を見ると、もう疲れて寝てしまっていたという状況が想像されます。本当はいっしょに完成を喜びたかったのではないでしょうか?これだけの文脈を「×」の文のbutから想像することができます。ここでbutを使うのが著しく不適切とは思えません。

ただ、「×」の文には時間的な前後関係が曖昧になっているという問題があります。それゆえに、By thenを使って、それをはっきりさせたのが「○」の文です。つまり、「×」の文の問題は時間的前後関係であって、文脈次第ではbutの問題というわけではないのです。その証拠に、「○」の文でもBut by then my son got...と言えば意味が通じてしまいます。

この記事にはその後にも次のような例文がありますが、この文にはどういう文脈があるのかすらわかりません。何やら食べ物の話をしているようですが、それ(文頭のIt)が何であって、今誰が何をしているのかもわかりません。これでは例文としては不適切であると言わざるをえず、上が「×」で下が「○」であることをこれだけで判断するのは無理ではないかと思いました。

× It is ok overall, but I like the bitter taste.
○ It’s just ok, though I like the bitter taste.


一方、CNET JAPANには「「but」は必ずしも逆接の意味でない」と反対のことを書いた記事もあって、下のような例文を挙げています。

Rumors of Google kicking off a music store have been floating about for more than a year. But recent reports say the company is now close to launching its own online music service.

このbutについて百人組STAFFさんは「外国語を訳す際、知識に拘らずに「文脈から単語の意味を推測する大切さ」を再認識しました」と書いていますが、文脈の大切さはまさにその通りです。

このbutに関する私の見解は、これを書いた人の頭の中では逆接だったのではないかというものです。なぜなら、噂に過ぎなかったものが現実になってしまったからです。だから、この文は次のように「しかし」を使って逆説的に訳すこともできます。

「Googleが音楽ストアを始めるとかれこれ1年以上噂されていますが、それはあくまで噂に過ぎないものでした。しかし今Googleがオンライン音楽サービスを近いうちに開始すると報道されています。」

逆接という概念もbutの使い方もかなり曖昧なものなのかもしれないですね。それでも、butの使いすぎは日本人の問題と言えるのでしょうか?

2015年5月21日木曜日

storeとshopの違いは何か?

お店は英語でなんと言うかと尋ねられたらshopと答える人が多いのではないでしょうか?私もそのように習ったので日本の多くの学校ではそう教えているのではないかと思っています。

イギリスは違うようですが、アメリカではお店と言えばstoreです。Apple StoreとかSony Storeとかありますが(最近は真似した電器までPanasonic Storeを名乗り始めましたがw)、お店と言えばふつうはstoreです。

大きなお店はstoreで、小さなお店はshopと思っている人も多いのではないかと思いますが、小さくてもstoreと言うので規模による違いはないのではないかなと思っています。

アメリカではたいていstoreを使いますが、shopももちろん使われます。「workshop」(作業場)という言葉がありますが、そういう作業を伴うお店に使われていることが多いと思います。例えば、自転車修理のできる街の自転車屋はbike shopとよく言います。ちなみに、コストコ(Costco、コスコ)はstoreでもshopでもなく、warehouse(倉庫)と自ら名乗っていますね。